渡邉会長 新年のご挨拶


新年明けましておめでとうございます。

昨年は九州北部での豪雨や台風など自然災害による甚大な被害がありました。お亡くなりになられた方々、そのご家族、ご親族、関係者の方々に対しまして、謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一年を振り返ると毎年のように国内外で大規模な災害が発生しています。被災された方々に一刻も早い復興をお祈り申し上げる次第です。

さて今年でNLD政権が発足3年目になります。私はミャンマー訪問のたびに、政権の閣僚の皆さんやNLDの皆さんと面談いたして参りましたが、21世紀に生存している我々と当協会の責任として、未来志向の緊密な日本とミャンマーの信頼関係を発展させて行かなければならないと、再確信するにいたっております。昨年はタン・ミン商業大臣、チョウ・ウイン計画財務大臣、ミン・トゥエ保健スポーツ大臣などに続き、11月にはウィン・ミン下院議長、12月にはティン・チョウ大統領の訪日も実現しました。また8月にはミン・アウン・フライン国軍司令官ご一行をお迎えすることもできました。このように活発な二国間の交流が、相互理解を益々深めていくことに大いに期待したいと思います。

昨年はラカイン州で起きた問題では世界から注目されました。これは、まずはミャンマー国内の問題であり、歴史的経緯、大陸国家としての地政学的環境は、我々の想像を超える難しい問題であると考えます。日本国政府のこの問題への協力姿勢は、ミャンマーと共に考え支援することにおいて、私としては価値観の共有として評価するものであります。また、ミャンマーには、ミャンマーの主体性、国の主権を維持する外交をこれまで通り目指して欲しいと思うとともに、一刻も早く事態が沈静化することを望んでおります。しかし、この難問に対する完全無欠の解決策を見出すことが難しい事を我々は理解しなくてはなりません。要は相手のある外交においては、お互いが100点満点の結果を得ることが不可能なことは、世界の歴史を紐解いてみれば容易に分かることであります。

ミャンマーの経済発展のための象徴的なプロジェクトであるティラワSEZは、日本とミャンマーの絶大なる協力のもとでスタートし、昨年2月には二期工事の起工式も行われ順調に進んでおります。この両国関係の絆でもある本事業の推進に今後も協力支援を続けます。今年からはいよいよ周辺インフラ整備(バゴー橋、道路、港湾、電力、水道)が始まります。アジア一番の工業団地、経済特区実現に近づいており大変楽しみにしています。

昨年も私はミャンマー訪問のたびに、国軍最高司令官をはじめ主要閣僚や日本とミャンマーに欠かせないミャンマーの友人、企業家の皆様とお会いして、新生ミャンマーの国家建設に最大の努力をしている指導層の人たちと素直に意見交換をし、日本ミャンマー協会会長として、これまでできることは全て全力で取り組んで参りました。協会の活動については、会員企業の皆様のご協力、ご指導のお蔭により昨年もご期待に応えた活動ができたと自負しております。

そして、協会が企画・推進してきた人材育成分野では、JICAを中心として日本の国立6大学(長崎、熊本、岡山、新潟、金沢、千葉)による具体的な協力(工学部支援)が順調に実行されております。また、薬学、医療機器(メディカルエンジニア育成も含め)の分野でも、昨年から始めたミャンマーへの支援協力の在り方を探る勉強会の結果、JICAと共同で人材育成のためのカリキュラムと講義設置の準備を開始しています。

更に、産業人材の育成が喫緊の課題となっています。我々としても人材育成に関する支援・協力への取り組みの一環として設置した「技能実習生部」では、ミャンマーから来日する人数が大幅に増えて対応に追われております。また、来日後の実習生の実態の把握にミャンマー大使館ともに現地を視察し、共通の認識の中で連携し、実習生の仕事、生活等々を支える協力もしております。このことは、ミャンマー政府からも感謝され、高く評価されていることを報告させていただきます。今後も関係者の方々のご意見なども伺いながら、引き続きミャンマー労働省、ミャンマー海外人材派遣企業協会(MOEAF)、駐日ミャンマー大使館および日本の関係諸官庁とも連絡を密にして、ミャンマー人技能実習生の失踪・不当難民申請の防止や健全な送出し・受入が出来るよう努力して参る所存です。

産業人材の育成については、ミャンマー国内での育成も肝要です。一昨年のJICA委託事業(職業技術教育・訓練(TVET)情報収集・確認調査)を受け、昨年は実業レベルでどのような支援が必要かミャンマー側と意見交換を行って来ました。今年の初めには、JETROからの助成事業でミャンマー特産品の日本への紹介や伝統文化、工芸品の調査を行うことにより、経済産業省のご支援の下、中小企業育成・発展の政策に繋げるために、日本からの支援を具体的な提案を行いながら、民間の専門家と進めて行きます。これにより短期、中期、長期にわたる中小企業発展、人材育成の施策を今後もミャンマー側と話し合いながら実行していきたいと思います。

また、ミャンマー政府各省の若手育成教育に関しては、JICA、日本財団からご支援を得て始まり、昨年も引き続き国際大学への留学が実施されおり大きな成果が見られております。

更に、会社法の改正で投資市場の活性化は言うまでもなく、健全な企業が活発に活動できる環境になってきています。こうした環境整備が少しずつでも実現して行くことが、各分野での官民一体の信頼醸成を深めて行くことを確信しています。

中小企業の進出においてはミッションの派遣、日本とミャンマー企業同士のマッチング事業も具体的に成果が出ておりますことは皆様のご協力、ご努力の賜物で心より御礼申し上げます(経産省、中小企業基盤整備機構、JETRO、日本商工会議所、ミャンマー工業省、ミャンマー商工会議所と共催で中小企業マッチング事業を4年連続して昨年も2月にヤンゴンで行いました)。先ほど述べさせていただいた中小企業発展のための支援は、より具体的、実践的な方法で今年は進めて行き、政府対政府の枠組みでの軌道にバトンを渡す役割を果たしていきたいと思います。

前述の通り、昨年も多数の主要閣僚等、重要人物が相次いで訪日された機会に、会員の皆様との懇親を深める期待にもお応えして参りました。こればかりでなく、日本の各省庁からの個別の支援や日本とミャンマーの民間企業同士あるいは企業単独でのミャンマーへの支援・投資も盛んになりました。現地に進出した企業数は飛躍的に増加し、今日では500社とも600社とも言われております。

また、日本財団笹川会長(ミャンマー国民和解担当日本政府代表)は日本政府の代表としてミャンマー政府と少数民族との和解を目指して真剣かつ命がけの活動されており引き続き大きな成果を上げておられます。一昨年は笹川会長のご尽力もあり、「21世紀ピンロン会議」が開催され、昨年は第二回目の会議が行われました。今後も更にこの国民和解が具体的かつ活発に進展するように期待されており、世界からも大いに注目と期待が寄せられておるところであり、笹川会長及びスタッフの皆さんには心より敬意を表しご慰労申し上げる次第です。 加えて、これまでのODA中心の支援が夫々プロジェクト毎に具体的な形となって表れて来る年だと確信しています。そして、日本政府も更に新しい協力支援策を出さなくてはなりません。新政権がどのような政策にプライオリティをつけるのか、これまで以上に両国関係も深く活発になる中で、ミャンマー・日本双方の理解を高め、当協会の事業もそれらの動向と連動し、協会として個性の有る活動を集中して進めて行きたいと思います。

以上、皆様にとってお役に立ち、両国の信頼と友好による具体的成果として、ミャンマー国民の生活向上と人材育成による産業経済の発展がミャンマー国全体に広がり、国民各界各層に浸透し実現することこそ共通の願望として一層の努力をお誓い申し上げる次第です。

皆様の今年一年のご健勝とご発展をお祈り申し上げながら、併せて当協会への変わらぬご理解とご指導に感謝を申し上げ新年のご挨拶と致します。

一般社団法人 日本ミャンマー協会
会長 渡邉 秀央

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